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2007~2019年:空白編29

Y恵が音信不通になってから数年が経過した。
その間、俺からは一切連絡をとらなかった。

もちろん新しい携帯は教えていない。
Y恵が知っているのは、俺の古いガラケーの携帯番号だけ。

スマホ全盛期の時代に、

いつかY恵から連絡がくるだろうと古いガラケーは解約せずに、
電源を入れて数年間ずっと放置してた。

使いもしない携帯電話を2台持ちする。
かかってくるかもわからない電話番号をいつまでも契約する。

今までの俺であったら、きっと泣いていただろう。
でも、あの頃の俺とは違った。

自信があった。

あいつが俺を忘れられるはずがないという自信。

あらゆる恋愛技を習得してきた自分にとって、
そしてナンパを通じて様々な経験をしてきた俺にとって、

数年という冷却期間など、計算のうち。

次のターンは俺からではなく、Y恵から。

もしも一生、Y恵から連絡がこないのであれば、
その程度の女だったというだけのこと。

でも俺が費やした日々、
枯れ果てるまで流した涙、

それが本物であるならば、この世に愛が実在するのであれば、
いつか必ず、Y恵は俺に連絡してくると信じていた。

数年という歳月。実際には4年ぐらいであろうか。

ナンパ師でもなく、
マスコミ関係者でもなく、
何者でもない俺。

この世に存在しない職業を生み出し、
そして周囲に認知させ全力で生きてきた数年間。

何者でもない俺は、何者かである俺となっていた。

そして・・・

ジリリリリ!!!

運命の日は、突然やってきた。

いつかY恵からかかってくるであろうと、
解約せずに、ずっと放置していた携帯電話が鳴った。

この電話番号にかけてくる奴など1人しかいない。
なぜなら登録者は1人だけなのだから。

Y恵。

古いガラケーのディスプレイ画面には、
彼女の名前が表示されていた。

俺「もしもし?」

Y「元気してた~」

俺「なんだよ!」

Y「もう結婚しちゃった?」

俺「なに言ってんだ!このやろう!」

Y「あ~あ、結婚しちゃったのかぁ~」

俺「してねーよ!連絡遅いんだよ!このやろう!」

この感情をなんと表現していいのかわからない。
怒りでも喜びでもない。

そして、想像通りの展開。
いつもどおりの言葉のラリー。

Y「彼女は?できたの?」

Y恵の、その台詞にたいして、
俺は癌で亡くなったランコの事を話した。

そしてY恵がいない間に、
起こった出来事を話す・・・

俺「会うか?」

Y「うん!」

もうエスパーのごとくY恵の求める返答は理解できていた。
そして、俺はY恵と再び会う約束をしたのであった。

思えば、Y恵も子宮の病気で癌になるかもしれなかったんだなぁ、と思い出した。
運良く、癌にはならなかったけれど、それでも結局、子供はできなかった。

我慢することはヤメたから。
本音で接することにした。

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